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私の日本での学校生活

Ola Polanska


 
私は日本に住んで10年になります。父の仕事の関係で、母と一緒に、6才の時に東京にやってきました。その年の9月には日本の公立の小学校に入学し、たくさんの日本の子供たちに囲まれて生活することになったのです。普通の子供達よりも半年おくれで学校に入ったにも関わらず、とてもはやくひらがなを覚え、正確に書けるようになり、全然話せなかった日本語も言葉の数がどんどん増えていき普通の会話が日本人と全くかわらない自然な発音でできるようになりました。はじめは不思議で仕方ないというように私を見ていた友達も、慣れていくにつれ普通に接してくれるようになり、本当何の問題もなく学校中の子どもたちと遊ぶこともでき、いじめなど全くありませんでした。

ところで日本の学校制度はどうなっているのかということについていいますと、現在のポーランドと同じ、小学校6年間、中学校3年間、高校3年間です。中学校と高校では、制服を身につける学校がほとんどで、身だしなみをきびしくチェックされるようになります。義務教育は中学校までですが90%以上が高校に進学します。勉強する教科は進学していくにつれて増え、分類や呼び名も細かくなっていきますが、基本的には国語(日本語)、数学、社会(歴史や地理など)、理科(化学・生物・物理など)、音楽、美術、体育、書道などで、中学校から英語も学びます。書道は中学校まではほとんどの学校で必修ですが、高校からは選択になり、特徴ある難しい技法(書き方)やさまざまな専門的知識を身につけます。小学校4年で書道と出会い習い始めて以来、私は今高校でも書道を選択しています。週に2時間静寂の中、おしゃべりひとつしないで自分の心だけに耳を傾けて1人1人紙(和紙)に字を描いていきます。ただ書くだけではないのです、りっぱな芸術である書道には日本人の美意識が表れているのですから。せんさいな線から力強く厳そかな線まで表現していきます。私としては書道を高校でも必修教科にしてもらいたいと思っています。
では今までの日本の学校生活で一番心にの残っている"受験"についてお話しましょう。乗りこえるのが本当に大変でした。中学校1年生まではよいのですが、中学校2年生になるとすぐに「進路調査」というものがあります。自分がいきたい高校がどこで、それはなぜかを考え、そしてその高校を調べたり見に行ったりしろというのです。「まだ中学校に入って1年とちょっとなのにそんなこと決めるなんて言われても...」という感じでした。進路調査は定期的にあり、先生のアドバイスや受験をのりこえた先輩の話をきく集会などもあり、14才という若さながらとても大きなことを乗りこえたような気がします。よい高校に行くためによく勉強し、よい成績のために努力し、ついに中学校3年生の受験のための成績は信じられないほどよいものをとれました。ポーランド人ながら学年で一番の成績をとっていた私は、中学校3年になってはじめてクラスの友達から敬遠されていることに気づき、気軽にだれとでも話したり遊んだりできなくなりました。ずっと私についていてくれる友達はもちろんいましたが、小学校の時のようにクラスのみんなと心から楽しむということはなくなり、見かけだけの付き合いになっていきました。それは日本人に近付くために日本人らしくしていた小学校時代から、自分とは何か、いちいち日本人のようになる必要はないじゃないかと気づき自分を探求していくようになった中学校時代への私の心の転換があったせいだとも思います。日本人は自分たちのようでない者、自分たちとはちがうことをしたり、仲間意識をもたない人をきらいます。日本人にとってのよい友達とは、自分と同じで、自分と同じことをして、自分と同じ興味をもつ人なのです。それをまだよく知らず、自分の思う通りに行動したりはっきりと思うことを口にしていた私は仲間の輪からはずされていったのでしょう。つらかったですが、勉強で一番になることを目標にしてそれだけのためにがんばっていき、見事に一番の成績をとれました。成績の5,4,3,2,1のパーセンテージが決まっている(生徒のうちの7%が5、24%が4,38%が3、24%が2、7%が1をもらう)というきまりもあるせいで5をとるのがむずかしいにもかかわらず2つ以外のすべての教科で5をとったのです!!様々な書類を作成、準備し、高校受験にそなえていた期間はたまらなく忙しいものでした。私は面接と作文という"推せん試験"をうけることになっていました。これに受かれば、これだけで受験は終わり、わりとかんたんに高校に入ることができますが、落ちてしまうと、1ヶ月ほど以内に"一般試験"といって3教科(国・数・英)または5教科(国・数・英・社・理)のテストをうける必要があります。確率は1/2...。推せん試験をうける1週間ほど前から中学校の先生と本番同様に面接をうける練習をしたり、制限時間内で様々なテーマに関しての作文を書いたりして準備し、その日にすべてをかけました。そして見事に受かることができ、テストなしで自分の一番行きたかった高校に入ることができたのです!!しかも設けられている"外国人枠"ではなくて、一般生徒枠の推せんなので、これは誇り高いです。もともと小学校の時から文章をかくのが得意だったおかげもあって、作文の試験は自信をもって受けることができました。ものすごく計画的で規則のこまかい日本の"受験"は、私が今まで乗りこえた一番大きな山のひとつです。

今、私は幸せです。かよっている国際高校は自分にとって合っていて、日本の学校とは思えないような校風があります。日本の学校だったら、髪を結ぶときのゴムの色やくつ下の種類まで決められてるし、変なところであまり合理的とは思えない原則が多いのに対し、この学校は、職員のほとんどが日本人なのにも関わらず西洋的な考え方を積極的に受け入れてくれるからです。中学校以来の私の悩みであった日本人と外国人の考え方のちがいが、ここではあたり前のこととして受けとめられ、誰にも阻止されることなく、のびのびと生活できるのです。本格的で時間数の多い英語の授業、さまざまな国から来ている人々や、いろいろな国に住んだことのある日本人が来ていること、気の合う人間がたくさんいて自分らしく楽しく毎日過ごせることなど少しインターナショナル・スクールっぽい学校でもあります。しかしもうすぐ今度は大学受験について考えねばなりません。今度は友達みんなと助け合いながらのりこえられたらいいと思っています。

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